作品とストーリー性の関係とその重要性②

前回の記事でストーリー性については説明したので、そのうえで僕がおすすめする作品を見てみよう。

 

まずはラジオ。

 

【5人のパーソナリティが番組の中で成長していくA&Gの帯番組A&G NEXT BREAKS

FIVE STARS

 

次にブレイクするであろう女性声優5人が五つ星、超一流の声優・ラジオパーソナリティーに成長していく過程を見守るラジオである。(Wiki参照)

 

月曜から金曜までのいわゆる平日の5日間をそれぞれが各曜日の担当としてラジオをしていく帯番組で、2015年4月6日から30分の録画番組として放送がスタートし途中から1時間の生放送になったが、2019年9月27日に放送が終了してしまった。

 

それぞれのパーソナリティは月曜:黒沢ともよ、火曜:深川芹亜、水曜:田中美海、木曜:松田利冴、金曜:吉田有里である。

 

この枠の放送は以前から新人女性声優主体の番組が多く、このFIVE STARSも例に漏れないキャスティングで本パーソナリティ最年少の黒沢ともよさんは当時18歳だった。

 

僕は初回からみていたわけではないが、それでも高いストーリー性が見られた番組だった。

 

まずは縦のストーリー性。つまりは個人の成長の物語だ。

 

その多くが放送当初は成人前だったこと、または1人ラジオが初めてだったこと(?)だったこともあり見た目も声もラジオのトークや回しもはじめの方と最後の方では全く違うものに仕上がっていた。

 

照れくさそうにしゃべり始めていたり、フリートークで困っていたり、無理に頑張っていたりとなかなか見ているこっち側も心配になってしまうようなところは全くと言っていいほど無くなり、いつの間にか自然なトークでありながらも自分たちの強みを出せるような器用さを持ち合わせていた。

 

時にはスタッフまで巻き込んで番組を盛り上げたりする術もそれぞれ身に付けていたり

して、最後の方の放送では各曜日ほとんどの回でスタッフをいじったりする様子も見られたりと確かなスキルアップを見出していたのである。

自分と歳の近いパーソナリティが多いこともあり、彼女たちの成長は僕の中で鋭く刺さった。

 

次に横のストーリー性。スタッフやパーソナリティ同士とのつながりだ。

 

4年半という長い間共にラジオをしてきたことである種の友情のようなものが芽生えていたように思える。

 

最初はスタッフの言うことをきちんと聞くだけだった彼女たちも次第に仲良くなっていき、はては話題のタネにたり、わざと映像に映るように仕向けてみたりとビジネスの関係だけではできないようなスタッフ弄りを繰り広げたりもしていた。(ただし、この番組のスタッフは自ら出ていきたい感が否めない節もあるが)

 

例えば、月曜なら本番中に女子トークを始めたり、水曜はディレクターが歌ったり、金曜に至っては一緒に佐賀旅行しに行ったりするくらいには仲が良かったのだ。

 

回を重ねるごとに無茶ぶりが増えていくところを見ると、番組自体にもストーリー性が出てきたんだなぁとしみじみとしてしまうのだ。

 

また、それぞれが所属している事務所が異なることや各曜日ごとの担当制なのでパーソナリティ同士の関係は希薄になりがちかと思いきや、同じ番組を背負っている責任からか互いを高めていくような姿も見られたのはとても良かった。

 

この番組は縦と横の2つのストーリー性を持った非常に優秀なラジオだったと思う。

 

ストーリー性が多ければいいというわけではないが、ベクトルの違ったストーリー性をそれぞれ作っていくというのは見ていて面白かった。

 

しかも(途中から)生放送ということもあって、声優のお仕事をだけでは味わうことのできない生感が僕には強烈にツボな番組だったのだ。